症例② 顎関節症を伴った包括治療症例

①患者は68歳、男性、主訴は右下が痛くて咬めないとの事で来院。⻭科医院は10年ぶりの来院。右上2のクロスバイト、左上3および左上⾅⻭部の挺出により噛み合わせが悪くなり、噛み合わせの崩壊が進⾏してきたことによって、部分的に⼒が加わり右上3の⻭⾁退縮、左上3・右下7の重度⻭周炎につながったと考えられました。左下に⽋損があり、右での咀嚼のみでした。

②2018年1⽉22⽇治療後、約4年になります。現在も経過は良好です。スプリント療法、矯正治療、⻭周治療、⻭周補綴、インプラント治療によって、左右の咬合平⾯、上下のアーチはほぼ左右シンメトリーにすることができました。左右で均等に咀嚼機能を改善することを⾏うことが出来ました。

③初診時のレントゲン写真です。部分的に⻭周病の重度の進⾏により動揺を認めました。右上6の遠⼼根にパーフォレーション(過去の⻭科治療による⽳で治癒させるのが難しい。)を認めます。左上3番は⻭の重度の揺れと⼤きな⾻⽋損、左下7番遠⼼に⾻⽋損、右下7番は分岐部3度・根尖部におよぶ⾻吸収を認めます。磨けていないから⻭周病が進⾏した要素よりも外傷性因⼦が複雑にからみこのように⻭周疾患が進⾏したのだと考えられます。また、左上5は側⽅⾯からは咬合していないように⾒えたのですが、レントゲンでは⻭根膜腔の拡⼤を認めるため、挺出したことによって咀嚼などの機能時の⼲渉になっている可能性が考えられます。

④治療後のレントゲン写真です。右上5番に⻭根膜腔の拡⼤を認めるものの、また、左上に関しては、左側が⾮復位性関節円板前⽅転位であったことと、3、4番⻭冠⻭根⽐が悪い点から左上3番から左上7番までの連結固定を⾏なっております。

⑤術前の顎関節CTです。左顎の下顎頭は右側に吸収していのがわかります。

⑥術後の顎関節CTです。右の顎関節の⾻吸収が改善しているのがわかります。

⑦、⑨右側が⾅⻭がストレート化になり、上下が前後にクラウディングを認めます。左上3が唇側へ動いているのがわかります。また、右下6が⾆側へ傾斜しており、下の前⻭に⻭列不正を認めます。

⑧、⑩治療後、左右均等な⻭列になっているのがわかります。右側と左側で接触が得られているのがわかります。

⑪⾅⻭部は上の⻭が下に抱え込むように咬合しているのがわかります。右上3は⻭が伸び出ており、重度の⻭⾁退縮を認めます。

⑫治療後、矯正治療、補綴治療、咬合調整により、⾅⻭部の抱え込むように咬合しているのが改善しているのがわかります。右上3は⻭⾁移植を⾏うことにより⻭⾁の再⽣を認めます。

⑬左上3が挺出し、遠⼼に⻭⾁が腫れているのがわかります。また、左上6が伸び出ることにより、噛み合わせの動きが制限され、噛み締めなどの悪習癖になったと思われます。

⑭⻭⾁の腫れがなくなり、綺麗な⻭⾁になっています。左下⽋損部位には、インプラントを埋⼊しております。また、左上3から7は再⽣療法を含めた⻭周外科処置を⾏っております。左上は顎関節が変形性顎関節症をともあったⅣ型の顎関節症とMRIで診断したことと、左上3、4、5の動揺が1度以上残ったため、左上3から7までを⻭周補綴しました。

⑮改良アムステルダム型正中ミニスプリントを⽤いて、下顎の位置の模索を⾏いながら、上下の矯正治療を⾏いました。過度な下前⻭の挺出が是正されて来ているのがわかります。

⑯右上3は⼝蓋から⻭⾁を採取し移植、左上3は再⽣療法を⾏っております。矯正治療後、プロビジョナルレストレーションを作成し噛み合わせを再度評価し、問題ないことを判断し、最終補綴へ移⾏しております。

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